ちょくちょく自省します。
皆さん、報連相してますか?ないし、されてますか?新入社員の時に口酸っぱく言われましたよね、報連相。ポパイかよって感じでした。
例えば、自分のタスクの進捗状況、あるいは進捗の不調を上司に共有することは大事です。
リスクを早め早めに共有することも重要ですし、課題について手が打てる内に上司に相談することも大変重要です。
「進捗ダメです」なら、ちゃんと「進捗ダメです」と言わないといけません。
リスクを自分ひとりで抱えていることは、その人にとっての不利益にもなります。
リスクを報告していれば「言ったやん」と言えるところを、リスクを共有していなければ「なんでこんなことになるまで一人で抱えこんでたんや」という話になる。リスクを報告することは、責任を移転することでもある。
だから、報連相は「プロジェクトの為」でもなく「会社の為」でもなく、なにより「自分の為」である。
うん、いや、その通りだと思うんですよ。全くその通りなんです。
ただ、案外、当たり前が当たり前として動作しない状況ってあるものでして。
上で書いたようなことがちゃんと動作する環境に、自分の職場はなってるかな?自分はそういう環境を作れてるかな?と気にすることがあるんです。
つまり、報連相がうまく動作していない職場では、
「上司が、部下に対して報連相のメリットを提供出来ていない」
「上司が、この人には相談する意味がある、と部下に思われていない」
場合がままあるなあ、と。私はそんな風に考えているわけです。
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以前似たようなことを書いたことがあるんですが、ちょっと再度書いてみます。
昔、今とはまた違う職場にいた頃、こんなことがありました。
隣の部署の話です。そこのチームリーダーの名前を、仮にYさんとします。
Yさんは、日ごろから、「部下からの情報共有不足」「部下からの進捗報告が遅い、リスク共有が遅い」ということで悩みを抱えていました。
Yさんのチームは、企画・戦略に近い業務をするところで、複数のタスクをそれぞれのメンバーが並列で担当するという、タスク管理的にはかなり複雑なことをやっていました。
一つ一つのタスクは、難易度も違えば期限も違います。その為、各人の進捗状況もかなり複雑になりますし、失敗時のリカバリも相当面倒くさいです。
Yさんは、自分でも独自にタスクを回しつつ、部下のタスクもそれぞれ並行して管理するという、相当アクロバティックな仕事を強いられていました。
しかし、チームメンバーはそれぞれ頑張っているにも関わらず、Yさんのチームは様々な問題を抱えていました。
タスクの期限遅れ、レポートの誤り。アウトプットの質が悪いと上からは怒られ、改善を求められる。
ただでさえ忙しいYさんが頭を抱えていた姿を、私は何度も見たことがあります。
Yさんは、この問題の根本原因を
「タスクの進捗遅れや問題発生時に、メンバーが早めに報告・相談してくれないこと」
と考えているようでした。
部下もYさんと同様、複数のタスクを回しており、当然タスク進捗上問題が発生することもあるのですが、それが即座にYさんのところに挙がってこないのです。
何度も「問題やトラブルが起きたらすぐ俺に報告しろ!」と言ってはいるのですが、部下はいつも、ギリギリアウト、という状況になってから恐る恐る報告を挙げてくるばかり。
当然Yさんは問題を把握するのが遅れ、それに対する対処も後手後手になり「あのタスクどうなった?」と他部署から聞かれるのは期限が切れた後、といった体たらく。
当然チーム内の空気も悪くなり、Yさんは困り果てる、という具合でした。
これ、Yさんが悪かったのでしょうか?部下が悪かったのでしょうか?
隣りの部署の強みというべきなのか、私にはある程度、Yさんの部署の問題点と、その原因が見えていました。
かつ、その多くは、多分Yさん自身の問題じゃないかなあ、と思っていました。
・Yさんにタスク遅れなどの報告を挙げると、まず怒られ、責任を追及される。
・Yさんから、期限遅れに関わる他部署との調整を新たに割り振られる。
・管理者ミーティングで、「○○(担当者)の進捗遅延でスケジュールが遅れている」といった報告をされる。
・最終的には、リソースの再配分やタスクの調整ではなく、「期限を延ばしてもらう」という形の対策しか打たれない。
早い話、Yさんの部下は、「Yさんに相談しても何もいいことがない」と考えてしまっていたのです。
上司と部下の関係は、単に命令する/されるだけの関係ではありません。
上司は部下に色んなスキル、働きを期待しますし、部下は上司に対して良質なマネジメントを期待します。
例えばの話、リソース不足で仕事が遅れるのであればタスク量の調整やタスクの分散をしてくれることを期待するでしょうし、部の仕事で問題が発生すればきちんと矢面に立ってくれることを期待するでしょう。
上司は上司で、部下に対してきちんとメリットを提供出来ないといけないのです。
勿論、リスクや進捗遅れが発生すれば、そこに対してどう対処するか、というのはケースバイケースです。
ただ、少なくとも「ちゃんとリスクを共有してくれた」ということは評価・賞賛して然るべきですし、それに対してどんな対応が必要か、無理が来ているところをどうすれば緩和出来るか、というのは上司としてきっちり考えないといけません。
根本的に、部下のタスクのスケジュール遅れは割り振った上司の責任である、という大前提もあります。
そこを、「怒られる」「責任は追及される」「調整は自分でしないといけない」「結局タスク量は変わらない」となれば、そりゃ相談もしたくなくなるよなあ、と思うわけです。
相談しなかったからといって状況が良くなるわけではないのですが、「結局相談しても同じやん」となれば、早め早めに共有するようなモチベーションが失われることは確実です。
勿論この話、自分自身タスクに忙殺されていたYさんが、そこまで細やかな面倒を見れなかった、という問題もありまして、そういう意味では最終的に会社に責任が帰結します。
もう少し時間に余裕があれば、Yさんが状況を改善出来た可能性もあったでしょう。
ただ、少なくとも上司は、「部下が適切に報連相してこない!!」と悩む前に、
「自分はちゃんと報連相しやすい環境を作れているか?」
「自分は報連相をちゃんと評価出来ているか?」
「自分は報連相を受けるばかりではなく、ちゃんと報連相に見合うメリットを提供出来ているか?」
「自分は報連相に値する上司か?」
ということについて、時には自省することも必要なんじゃないか、と、私はそんな風に思うのです。
残念ながら当時、私はYさんに意見出来るような立場ではなく、多少なりと意見が出来そうな立場になった時には、既にYさんが職場から去っていました。タイミングというものはなかなかままならないものです。
当時、こういう話についてYさんと色々話し合うことができていれば、Yさんも隣のチームの状況も、ちょっとは変わったのかなあ?などと、私は今でもたまに思い返すのです。
全ての上司が、部下と相互にメリットが提供しあえるような、良好な関係を築けることを願って止みません。
今日書きたいことはそれくらいです。
(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
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【プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城
(Photo:Iyad Tibi)