m020247世の中には、「頭の良い凡人」が数多くいる。私の経験では、大企業や役所、研究所や会計士などの士業の方々にも結構いたように思う。

「頭の良い凡人」とは、次のような人々だ。

 

・学歴は概ね良い。有名校を出ている人も多数。

・話をすると鋭さや、頭の良さを感じる。

・会社ではそこそこ出世するが、あくまでそこそこ。部門長やトップにはなれない。

・世に聞こえるような突出した成果をあげているわけではない。

 

「頭の良さ」と、「成功」は別物だ、という方がいるが、まさにそのとおりだと思う。

頭の良さは人としての一つのパラメータに過ぎないので、それだけでは成功できない、という証だろう。

 

さて、こういった人々の中には、「凡人でいい。平穏な毎日を望む」という人もいらっしゃるだろう。私もそれでいいと思う。

それはそれで、良い人生を過ごせるだろう。

 

しかし、不幸なのはそういった人々が成功を望んでいるのに、成功が得られない、という現象があるときだ。

そういう時には周囲との摩擦が起きやすい。

極端に言えば、

「周りが無能で、オレの言っていることが分からない」

と、愚痴を漏らしたり、

「こんなこともわからないなんて、本当にダメな奴らだな」

と、思っていたり、

「こんな場所、出て行ってやる」

と言い、次の場所へ転職を繰り返したりするのだが、また同じように周囲との軋轢を生み出す。

 

 

私は一緒に仕事をすること通じて、そのような人々の話を数多く聞いた。

そして、その人の言っていることは、大体事実である。能力が高いので、大体において状況は正確に把握している。課題を把握する能力が高いのだ。

私が出会った、ある保険会社の方は非常に能力が高く、ほとんどの課題に対して正解を導いていた。その能力の高さに、驚嘆することもしばしばだった。

しかし、

残念ながらその人はなかなか出世できなかった。

 

 

ではなぜ、そういった人が成果を挙げられないのだろうか。成功できないのだろうか。

私が多くの会社で観察した結果、原因は以下のようなものだった。

 

 

1.「勇気」が凡庸

大きなものを得ようと思えば、どこかでチャレンジを行う必要があるが、「リスクの高い試み」に対するチャレンジは、万人に対して敷居の高いものであり、「頭が良い」からと言って特にチャレンジ精神に富んでいるわけではない。

チャレンジ精神がなければ、普通の人と同じような成果にとどまるだろう。

 

2.「助けを求める」事が下手

仕事は大きくなればなるほど、一人で完結させることは難しい。頭の良い人は、大抵の問題を一人でこなせるため、助けを求めることが一般的に下手である。(もちろん例外はいる)

また、「うまく助けを求める人」は、上に可愛がられることも多い。人は頼られることが好きなので、時には人に頼ることが人間関係を円滑にする。

 

3.周りに恐れられてしまう

あなたが「あまり優秀ではない人をどう扱うか」ということは、皆が見ている。その扱い方は、その人がどれだけ人望を得られるか、ということを決める。

あるメディアに有能な方がいたが、その人には人望がなかった。なぜならば、会議でイマイチな発言をした人に対するツッコミが、的を射すぎていたからだ。

「イマイチな発言を繰り返す奴もどうかと思うが、アイツのツッコミはキツイ」という噂が立ってしまっていた。

要は、その人の発言が周りに恐怖感を与えてしまっていたのである。

 

 

4.人にあまり期待しない

こういう話をすると、「頭が良くても、人当たりがイマイチなんでしょ」と言われるが、そんなことはない。頭が良い人は相手の考えていることがだいたいわかるので、人当たりが悪い人は少ない。

マンガやドラマのステレオタイプでは、「頭が良い人は人当たりが悪い」と言われるが、実際にはそんなことはなく、とても人当たりのよい人も珍しくないのだ。

しかし、本質的には、人を動かすのは、上で言うような「人当たり」ではない。「その人に対する期待」である。頭の良い人は、自分の能力が高いがゆえに、「他の人に対する期待」を持ちにくいのである。

「この人は、この仕事を自分以上にできる」と思うことが、下手だということだ。

 

5.頭の良さを重要視しすぎる

人には様々な強みがあるが、「頭の良い人」は、「頭の良さ」という尺度を過大評価する傾向にある。

なお、ピーター・ドラッカーは、「頭の良さは、成果の上限を規定するだけであり、成果を出す能力とは関係がない」と言っている。

 

 

本質的には、「頭の良さ」は、成功するための必須の条件ではない。

そのことに気づくか、気づいていないか、大きな分かれ目である。

 

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