新卒、中途にかかわらず、会社説明会の手伝いをしていると、応募者の方々からたまに、「残業代」や、「離職率」の質問を受けることがある。
「残業はどれくらいありますか?」
「残業代は出ますか?」
「離職率はどのくらいですか?」
そういった質問だ。
そこで、その会社は説明会にその情報を最初から含めてしまった。
待遇について話をする場所で、
・平均の残業時間は月に◯◯時間で、もちろん残業代は出ます。
・離職率は前年度◯%でした。
・有給休暇の取得率は◯%です。
どうせ聞かれるなら、最初から教えてしまったほうが良い、という判断だ。
これをしばらく続けていたところ、会社説明会のアンケートで、「情報開示がきちんとなされていて、かなり信用できる会社と思いました」というようなコメントが結構な割合で見受けられるようになってきた。
やっぱり、みんな口には出さないけど、気にしてるのね。
ある学生は、「残業や有給休暇について質問をすると、面接官や人事にとても悪い印象をあたえるので、内定をもらってから質問をするか、OBなどにそれとなく聞くように」という指導を受けているとのこと。
これを聞いて、正直私は違和感を感じた。
おそらく、人事としては内定出してから、「やっぱり御社は残業が多いので行きたくありません」のほうが困る。本当に。
いや、もっと困るのは入社してからすぐに、「やっぱり御社は合いません」と言われ、すぐに辞められてしまうことだ。
残業が◯◯時間以上ある会社はダメ、っていうなら、最初からお互いにきちんと情報開示した方が良いのではないか。
そんな風にも思う。
だが、「残業についての質問は、あからさまに嫌な顔をされた」と言う学生や中途の方もそれなりにいる。まあ、だれだって答えにくい質問をされたくはないだろう。
ただ、それが事実であれば、「情報開示」はそれだけで他社との差別化の要因になる。
きちんと「情報開示」する会社として。
断っておくが、会社説明会で開示している情報は特に「特に良い」情報ではない。
残業時間もそれ程少ないわけではないし、離職率もそれ程低いわけではない。でも、こうして「情報開示」をするだけで、応募者に信用してもらえるなら安いものだ。
「オープン」なのは、世の中の趨勢でもある。
学生に聞くと、会社説明会の時の質問への回答は、かなり仲間内で共有されているらしい。
そりゃそうだよね。
そのうち、就職活動についての会社の比較サイトなどが出来て、
A社 残業 100% 有給取得率 ◯% 離職率 ◯% 質問時の人事のコメント:………
B社 残業 30時間まで 有給取得率 ◯% 離職率 ◯% 質問時の人事のコメント:……
みたいな、比較サイトができるのだろうか。それはそれで面白いかもしれない。
例の会社の担当者は、「応募者の本音が知りたいなら、こちらも本音を出さないと」と仰っていた。
私も、そう思う。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

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投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
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3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
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