私は大きなチャレンジをした方、例えば起業家や普通と異なる生き方をしている方々に会うと、いつも

「失敗は怖くなかったか」

と聞く。

それに対する回答は様々なものであるが、その方の人生観が色濃く反映される。そして、殆どの人は「怖かったが、さほど重要な問題ではなかった」と答える。

彼らは無謀なのだろうか、それとも何も考えていないだけなのだろうか。

 

そして、私はつづけて彼らに「なぜ恐怖に勝ったのか」を聞く。

すると、面白いことに彼らは皆似た回答をする。皆それなりの根拠を持って、「恐怖は克服できる」と確信をしているのである。

 

 

失敗しても死なない。

最も多い回答が「失敗しても死なない」だ。彼らは皆、口をそろえて「人生はいつでもやり直せる」「たかが仕事で失敗したくらいで生きていけなくなるわけがない」という。

ある経営者は「今の日本では、事業で失敗したくらいでは死にはしないですよ。私はもう2度企業に失敗して、いま3度めです。」と言った。

またあるイラストレーターは「友達には、イラストレーターなんて儲からない仕事、なんでやっているの?と聞かれます。うまく言っているとはとても言いがたいですが、日々の暮らしに困るほどではないので、「別に困ってないから」と答えます。」と述べた。

彼らの根本は「楽観」である。

 

人生が短いから

ある学生は全く英語が話せなかったが、海外に飛び出し働き始めた。

彼は言う。「今20代ですが、人生はあと60年しか無い。健康に暮らせるのはせいぜい50年でしょう。時間を無駄にできません。桜が咲くのを見られるのがあとせいぜい60回だなんて、人生短いですよね。」

また、商社をやめて小さな雑貨店を開いた彼はこう言った。

「もう僕は40年も生きました。あと働けるのはせいぜい30年でしょう。その時間を会社での仕事にあてるなんて、考えられません。商売は成功している、とはまだまだ言えないですが、毎日生きている実感がします。」

彼らにとって人生は短く儚い。輝く人生をおくるなら、いま行動しなければならないと考えている。

 

好きなことをできなくなる方がもっと怖い

ライター業をしている友人はこう言った。「好きなことができなくなる方が、怖いよ。例えば、朝起きて「会社に行きたくない」と毎日思う生活をこの先10年、20年しなければならない生活のほうが、よっぽど怖くないか?」

知り合いの画家も、このように言った。

「好きなことだけをして生きていく。そう決めた。僕は40年間代わり映えのしない生活をするほうが耐えられない。」

彼らは皆、好きなこと、やりたいこと、それを見つけて極めることが人生であると考えている。

 

人が自分をどう見るか全く気にならない。

「恐怖って、根本的に自分のやっていることに対してじゃないんだよね。どっちかといえば、チャレンジできない人って、家族や友人に「失敗した」と思われる方が怖いっていう人が多いんじゃないかな。」

と飲食店経営の彼女は答えた。

「私は、そういうのが全く気にならないんだ。今ではもう家族も友人も、「まあそんなものですか」と諦めてる。そしたら結構応援してくれるようになってさ。私、成功するとか失敗するとか、別にどうでもよくて、この毎日が楽しいかで行動を決めてる。それで満足。」

尺度が自分の外ではなく、自分の中にある人は強い。

 

自分の価値は、所属している組織ではなく、自分が成し遂げたことで決まる

誰もが知る有名企業をやめ、webサービスを立ち上げた彼は言った。

「僕も昔、勤めている企業の価値が、自分の価値であると勘違いしていた時がありました。だけど、ある時、お付き合いしていた起業家たちを見て思ったんです。「そんなつまらないものは犬にでも食わせろ」って。彼らは自分の価値を、自分が成し遂げたことに見いだしていた。

悩みましたよ。自分のつまらないプライドに。世間体もあるし、この会社に勤めていれば、皆それなりの目で見てくれる。「ほほう、◯◯にお勤めなんですか。」ってね。

今はそんなことは思いません。でも会社にいると甘えが抜けないと思って、思い切って起業することにしました。」

彼らは自分の価値を客観的に見る。「私は単なる歯車です」と思わずに済むように。

 

何かを捨てないと、何も手に入らない

「よく言いますよね。「新しいものと出会うには、古いものを捨てよ」って。古い本を捨てて、新しい本を買う。古い服を捨てて、新しい服を作る。それと一緒です。

抱えられるものは限られています。何か大きなことをしようと思ったら、なにか大きなものを捨てなければいけない。私にとっては、「好きに生きる」ために「安定」を捨てたんです。」

彼女は現在、システムエンジニアとして活躍していた会社を辞め、子供向けのアプリを作っている。

「ユーザーの反応が、直に得られるのが本当に嬉しいんです。今までの職ではなかった。いまは幼稚園や保育園などに持って行って、アプリを使っている子どもたちの反応を見るのが一番やりがいを感じます。」

彼らは「捨てることで得られる」と信じている。

 

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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)

 

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