昨今の「民泊議論」ですが、そもそもなぜ「民泊」という言葉を使うのか?
私が最初に「民泊」と言う言葉を聞いたのは、私の部屋に朝日新聞の方が取材に来られた2014年6月です。
Airbnb日記 vol.15 〜台湾人4名女子part3〜 / Airbnb日記 vol.17 〜カナダからジョンとその友人たちpart2〜
その記者の方が、最近新しい宿泊の形態が出てきていて民宿とも違うし、いわゆる「ミンパク」とでも言えばいいのでしょうか?と言っていたのをよく覚えてます。
「自宅の空き部屋に旅行客を泊める動きが都市部や観光地で広がっている。仲介サイトを通じて予約を受け、宿泊料を得る仕組みで、増え続ける外国人旅行者を中心に利用が急増している」 (朝日新聞2014年12月)
掲載された記事の中では「民泊」という言葉こそ出てこないのですが、Airbnbのことを「自宅の空き部屋に旅行客を泊める」と紹介しています。それを当時の記者の方が、民宿とは形態の違う「民泊」とわざわざ区別して言っていたのです。
しかし、昨今の民泊議論の中には、我々が行っているような「自宅の空き部屋」を貸すということは議論の対象になってないような気がしてなりません。
それは、日本の特に東京において特殊な事情が関係しているからだと私は考えています。
東京の空室問題です。東京はニューヨークやパリなどと比べ断トツに空室率が高いのです。
(リクルート住まい研究所より引用)
2008年時点で、空室率が東京11.1%に対して、ニューヨーク6.8%、フランス8.2%なのです。空室数も東京約75万戸に対して、ニューヨーク約23万戸、パリ11万戸と断トツに多いのです。
さらにその空室率は2008年以降ずっと上昇傾向なのです。東京23区の新築物件だけ見ても2016年6月時点で空室率が30%を超えてます。
(リクルート SUUMOニュースより)
この空室問題を解消したい不動産業界の方々が東京オリンピック開催と相まって、チャンス到来とばかりに現在活発な動きをしているのではないかと思います。
確かに、空いている賃貸物件を旅行者に貸すというのは、余ったリソースに新たな需要を生み出すという意味においてナイスアイデア!です。
じゃあ何で今までやってなかったのか?それは多くの人が知っている通り旅館業法がそれを許さなかったからです。
最近、その旅館業法を見直し規制緩和が行われるということで、
アパマンショップHDが東京都大田区の「民泊条例」など材料にストップ高(財経新聞 2016/2/15付)
というようなことも起こり、それを象徴しています。
つまり、「民泊議論」というのは突き詰めると、空いている賃貸物件をいかに合法に短期滞在者である旅行者等に貸し出すのか?ということであり、それが今までの厳しい規制の中で商売をやってきた(逆に言うと既得権益を持っているとも言う)旅館業界と、空室問題を解消し新たな需要を生み出すかもしれない不動産業界の攻防、
つまり旅館業界vs不動産業界という図式になっているのです。
現に、日本で初めて「民泊条例」を定めた大田区の事例を見てもわかります。
○一居室の床面積25平方メートル以上であること。
○ 滞在期間が6泊7日以上であること。
○ 建築基準法上「ホテル・旅館」が建築可能な用途地域であること。
など(詳しくは大田区HPご参照ください)
ルールが「なぜそうなるのか?」という疑問に関して、それは「旅館業界との兼ね合い」と考えれば納得がいきます。
その結果は、産経新聞が報じてるように
大田区「民泊」申請低調、全国ルールの決定待つ業者(産経新聞2016/2/13付)
盛り上がりの割には申請は少ない状況になってしまっているようです。
客商売している人なら、それはお見通しだったでしょう。その規制緩和がユーザー(実際に泊める側や泊まる側)不在のルール作りであったことは誰が見ても明らかでしたから。「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、今回は「木を見ずに森を作った」と言ったところでしょうか。それを責めるつもりはありません。事情があっての突貫工事だったのだと思っていますし、何よりも前に進んだことは間違いありませんから。
私は旅館業界のモノでもなく不動産業界のモノでもなく、「自分の住んでいる自宅の空き部屋に旅行客を泊めている」いわいるAirbnbホストです。つまり一般人です。
一般人という視点から見ると、現在の「民泊議論」というのは不動産業と旅館業のどこに線引きするかを決めているだけにしか見えません。その議論に果たして「民泊」という言葉は必要ないのでは?と思わざるを得ません。
本当の意味で既存のリソース、つまり「自分が住んでいるところそのまま」に、「別にそれでも全然構わないよ。とても助かるよ」という旅行者(だけでなく大学関係者やインターンシップも多い)を受け入れることで感じた、世界との繋がり(グローバリズム)、人とのダイナミックな交流(異言語異文化同士のコミュニケーション)、経済合理性(シェアエコノミクス)、それが本来の意味での「民泊」だったのではないかと思います。
そういう「民泊」であれば、もっともっと多くの人に知ってもらいたいです。それが人生に大きな影響を与えるほどのインパクを持ったAirbnbがもたらした古くて(人々の生活は古来から営まれている)新しい(インターネットにより人々が繋がりやすくなった)概念「シェアエコノミー」なんだと思います。
そして、それこそが真のイノベーションと言うのではないでしょうか。イノベーションとは、テクノロジーそのものでもなく、まして思想などでもなく、多くの人の目の前に起こる事象がより善い方向に変わることをイノベーションと言うのではないでしょうか。
言語や国境全く関係なく、世界中どこに行っても温かく迎え入れてくれる人がいる。そんな価値観が存在したら、とてもいい世界だと思いませんか?実際に私は目の前で見てるんです。
(Vol.167へ続く)
以下、現Airbnbホスト、これからAirbnbホストになってみたいという人へお知らせ↓
3月13日(日)に、そんなAirbnbにまつわる体験を話したくて話したくしょうがないってホストたちが集まるコミュニティWLAで第2回WLAホストコミュニティミートアップやります。
・Airbnbホストをやっていて、Airbnbが大好きになってしまった人
・これからAirbnbホストをやろうと考えている人
・よくわかんないけど楽しそうだから話し聞いてみたい人
Airbnbホストでなくても参加OKです。ぜひぜひご参加ください
第2回WLAホストコミュニティミートアップ(FacebookPage)
◎場所:池袋 エミココルーム
◎時間:3月13日(日) 13:30〜17:30(今回はレンタルスペースでの開催なので、時間通り完全撤収できるようゴミの分別などご協力お願いします)
◎参加費:3000円(簡単な軽食とアルコールドリンク用意致します)
◎定員:30名(参加人数次第ですが40名でも考えてます)
前回のミートアップの様子はこちら↓
◯Airbnbホストのコミュニティを勝手につくった(Airbnb日記 vol.163)
◯We Love Airbnb第1回ミートアップ!(エアログ)皆さんのゲストとの交流体験話が盛り上がりすぎて、時間が全然足りなかったので今回はたっぷり4時間用意しました。
是非とも当日は盛り上がりましょう!
盛り上がりすぎて前回のように2次会に行くのも良しです。参加ご希望の方はFacebookPage「WLAホストコミュニティ」からご参加ください。
(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
ティネクトの地方創生支援-人の移住よりも知の移転-
ティネクトでは創業以来、数多くの地方中小企業様のお手伝いをさせてきました。地方では人材不足が問題と思われがちですが、実際は「人材」の問題よりも先に「知」で解決することが多いと感じています。
特に昨今は生成AIの台頭で、既存の人材とAIの協働の可能性が高まっており、実際それは「可能である」というのが我々ティネクトの結論です。
【ウェビナーのご案内】
地方の経営者の皆様へ!生成AIと既存人材の協働に本気で取り組んでみませんか?
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日時:
2024/10/31(木) 15:00-16:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込みは
ティネクウェビナーページ
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