先日、何名かの学生と話をした時に、就職活動の話となった。

「いい経験だった」と話す学生がいる一方で、「理不尽なことが多く、虚しくなった」と語る学生も多かった。

 

そんな中、1つ盛り上がった話題が「面接でされた質問」だ。学生からすると「そんなこと聞いてどーすんの?」という疑問しか起きない質問も多数あったという。

聞くと、たしかにそういった部分もあるので、いくつかご紹介する。

 

ウチの仕事はけっこう残業もありますけど……大丈夫ですか?

・大丈夫、以外の回答ってあるのか?
・覚悟を決めてきなさい、っていう警告なのかと思った。質問じゃないよね。
・残業が嫌な人は来るな、っていう意味ととったけど、面接で聞く必要はないよね。説明会の資料にいれてくれれば。

 

内定を出したら、ウチに来ていただけますか?

・行きます、って答えるしかないw
・この面接官が何を考えているのか知りたい。行かないっていう回答を聞いたことがあるのだろうか。
・内定出してもらったら考えます、って言いたい。

 

あなたの短所は?

・短所をそのまま答えて欲しいのか、美辞麗句を並べる能力を知りたいのか、全く意味のわからない質問。
・短所を聞かれて一度「怠け者で、めちゃくちゃ時間にルーズで、集団で動けないところです」って答えたw

 

ウチの会社について、どう思いますか?

・この質問、曖昧で何を答えたら良いのかわからないんだよね。もっと具体的に質問しなさい、って教わらなかったのかね。
・基本、この質問をされたら、「ああ、褒められたいんですね」って理解してる。

 

なぜウチなんですか?

・その通り。内定くれるなら他でも全く問題なし
・この建前を聞く質問、どうにかして欲しい。「御社は私が受けている数ある起業のウチの一社であり、特に御社に絞って就活しているわけではございません」と言いたい。

 

5年後(将来)どうなっていたいですか?

・これも結構意味不明。「起業したい」とか「自分でアプリ作って出したい」とか言っちゃいけないんだろうし。
・逆質問したら、面接官も答えられなかった。自分で答えられない質問を学生にするなよw

 

嫌な仕事でも黙って続けられますか?

・嫌な仕事を振ります、って予告を面接でしてもしかたがないと思うんだけど。
・これも「続けられない」っていう返事を返す人いないと思うんだけど
・嫌な会社のない仕事って、無いでしょう。Yes一択の質問をして、何を見ているのか。

 

当社のビジョンについて、共感したポイントをおしえてください。

・この質問、複数の会社で聞かれたんだけど「世のため人のために」みたいな普通のビジョンなので、「はあ。当然ですよね」くらいにしか感じないんだけど。
・「そんな良いビジョンとは思えないのであまり共感しませんでした」って言っちゃいけないし、仮にうまく答えられたとしても入っちゃいけないよね。

 

 

話を聞いていくと、面接官の質問の力量に結構ばらつきがあり、スキルの低い面接官も多いのだな、と感じた。学生は、ちゃんとそれを見抜いている。

基本的に面接官は現場の人間であり、面接に関しては「素人」だ。その弊害が出ているとみられる。

 

さて、それでは面接官はどういった質問をすべきなのだろうか?上のような質問はほんとうに意味が無いのだろうか?

 

結論としては、上のような質問はおそらく意味がない。

例えばGoogleの統計的な研究で*1、次のことがわかっている。

 

1.面接の上手い人はほとんどいない。複数名で面接し多面的に評価しなければダメ。

2.面接官は確証バイアス(思い込み)の影響で、最初の10秒に受けた印象を証明するために面接の殆どの時間を使っている。つまり、最初の10秒の印象が「不採用」ならば、残りの時間を「不採用の理由」を探すために使っている。

3.職務能力を測るのに良いのは構造的面接である。

 

「構造的面接」とは

・行動面接

〜した時のことを話してください。(実績に基づく質問)

・状況面接

もし〜のような状況となったら、どのような行動を取りますか?(ケーススタディ)

の2種類の質問からなる面接だ。

 

これの特徴は、「思います」や「感じました」ではなく、「どう行動した(する)」という基準に基づいて成される面接だということだ。

 

上に挙げた学生が「それ聞いてどうすんの?」と思っている質問は、「学生がどういう人物なのか」を見る質問ではなく、「うちの会社はこういう会社だけど、大丈夫?」と聞かれているものが多い。

だから、殆どの面接の現場では「面接」というよりも「印象にもとづく、意思確認」のようなものが行われていると見て良いだろう。

 

採用は大きなお金が動いているにも関わらず、まだまだ「生産性が低い仕事の1つ」といえる。

 

【お知らせ】
生成AIを活用したビジネス文書作成の最前線を学べるウェビナー開催!



トップコピーライター直伝!「使えるビジネス文書」を出力するプロンプト講座
・生産性を爆上げするプロンプティングの技術
・ビジネス文書の多様な活用例(コピーライティング・記事・提案書など)
・ビジネス文書AIライティングツール「AUTOMAGIC」の活用事例とデモ

<2025年4月4日実施予定>

トップコピーライターが教える!生成AIで「使える」ビジネス文書を作る技術

生成AIは単なる補助ツールではなく、適切な指示(プロンプティング)次第で生産性を大幅に向上させる強力なツールとなります。
本セミナーでは、コピーライターとして数々のヒットコピーを生み出した梅田悟司が、プロンプト作成の基礎と実践例を解説します。

【内容】
1. 生産性を爆上げするプロンプティングの技術
2. ビジネス文書の多様な活用例(コピーライティング・記事制作・提案書・メールなど)
3. ビジネス文書AIライティングツール「AUTOMAGIC」の活用事例と操作デモンストレーション
4. まとめ & Q&A

【登壇者】
梅田悟司
コピーライター / ワークワンダース株式会社 取締役CPO(Chief Prompt Officer)
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 教授
代表作:ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」ほか
著書『「言葉にできる」は武器になる。』(シリーズ累計35万部)


日時:
2025/4/4(金) 14:00-15:00

参加費:無料  
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細 こちらウェビナーお申込みページをご覧ください

(2025/3/18更新)

 

【著者プロフィール】

安達裕哉Facebookアカウント (安達の最新記事をフォローできます)

・編集部がつぶやくBooks&AppsTwitterアカウント

・最新記事をチェックできるBooks&Appsフェイスブックページ

・ブログが本になりました。

「仕事ができるやつ」になる最短の道

「仕事ができるやつ」になる最短の道

  • 安達 裕哉
  • 日本実業出版社
  • 価格¥1,644(2025/03/31 12:26時点)
  • 発売日2015/07/30
  • 商品ランキング49,335位

Ma LiEs

*1

ワーク・ルールズ! ―君の生き方とリーダーシップを変える

ワーク・ルールズ! ―君の生き方とリーダーシップを変える

  • ラズロ・ボック,鬼澤 忍,矢羽野 薫
  • 東洋経済新報社
  • 価格¥2,178(2025/03/31 02:44時点)
  • 発売日2015/07/31
  • 商品ランキング46,715位