昔から企業の現場には、せっかちな人が一定数いる。「とにかく早く行動したい人」と言っても良い。
彼らの口癖は「スピードが最も重要」である。
しかし「スピードが最も重要」は真なのだろうか?
もちろん、多くの場合これは単なる煽り文句で、思慮深く、本当にできる人々は「スピードが最も重要」とは言わない。
実際、スピードが最も重要である状況は「やるべきことがわかりきっている時」言い換えれば「考えることを要求されていない時」である。
大きな成功を収める人はむやみに動いたりはしない。それは単に生産性を下げるだけだからだ。
では、最も重要なこととは何なのだろうか。
それは「大きなインパクトのあるテーマに取り組む」ことである。そして、その1つを、全力で、コツコツやりきる。誰も真似できないレベルで。
例えば、学者は皆わかっているが、科学研究の分野では「研究テーマを決めること」がその業績の大きさをほとんど左右する。
彼らの成果は「インパクトのある研究結果」を残すこと。すなわちより根源的な一般法則を発見すること、引用回数の多い研究をすることだ。
例えば、ダニエル・カーネマンという学者がなぜ、「プロスペクト理論」でノーベル経済学賞を受賞したのか。*1
それは彼が「行動経済学」という学問分野の礎を築いたからだ。
それまでの経済学は「人間は合理的に動く」を前提としていた。しかし現実の人間は各種のバイアスにより不合理な選択をしがちである。
では、どんなバイアスによりどのような決定をするのか。それを理論的に説明した彼の研究は、様々な研究で利用されている。
それが「インパクトのある研究」だ。
卓越した成果を残した「偉人」と呼ばれる人々は例外なく、「インパクトのあるテーマ」に取り組んでいる。
これは企業のビジネスパーソンも同じで、特に起業家は「インパクトのあるテーマ」に取り組まなければ、単に雑用をやっているだけで終わる。
例えばGoogleは「インターネットにおける検索品質の向上」というインパクトのあるテーマに取り組み、業績を残した。Appleはかつて「電話の再発明」に取り組み、テスラは「電気自動車がガソリン自動車を超える」というテーマに取り組んでいる。
つまり「インパクトのあるテーマ」の発見が、あらゆる仕事の中で最も価値の高い仕事であり、知識労働の本質だ。「何かを早くやること」はそれに付随する手段にすぎない。
例えば「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の編集者の加藤貞顕氏は
「実際にミリオンセラーになっている書籍は、誰にも関係がある家族、恋愛、青春、お金、健康の5分野に限られている」*2
と述べる。
ミリオンセラーを作りたかったら、テーマを間違えてはいけない。「インパクトのあるテーマ」は書籍においてはたった5つしかないのだ。
だが、身近な仕事においてインパクトのあるテーマを発見することは、非常に知的で高度な営みであり、通常、これは誰も与えてくれない。
「一体、何に取り組むべきなのか?」を決めることができる人は、極めて限られている。
何に取り組むべきなのか考え続け、知識をあさり、現実を見続けた人だけが到達できる領域だ。そう言う仕事をしている人は、どこにいてもとても尊敬される。
だから、こういう「インパクトのあるテーマ」を見据えている人にとって、すぐに上司や会社の愚痴を言う人間が頭悪く見えるのは、必然だ。
なぜならそれは「インパクトのあるテーマ」ではないからだ。
「仕事がうまくいかないのは上司が悪い」というテーマ設定は解決を果たしたとしても非常に限定的なインパクトしかない。
もちろんそう言う人は優しいので、あなたの境遇を否定したりせず、同情してくれるだろう。
だが、こころの中では「小せえな……」と考えていたとしてもおかしくはない。
生産性を向上させるのも、出世するために成果を出すのも、あなたが面白い仕事をするためにも、
「インパクトのあるテーマ」に取り組むことを常に意識しなければならない。
それは知識労働者の宿命である。
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