ロバート・ソローはノーベル経済学賞の受賞講演で「人々がより一生懸命働くから成長するのではない、よりスマートに働くから成長するのだ」と述べた。

 

この言葉通り、アメリカにおいては、ITのお陰でスマートに働けるようになり、生産性は上がったとされている。

2010年のように年4%の伸びとなれば、70年間で生活水準はなんと16倍になる。4%は例外としても、過去10年間のアメリカの労働生産性はなかなか悪くない成績を収めている。平均して2.5%と、1960年代以降最高の数字を達成しているのだ。これは1970年代、80年代を大きく上回り、1990年代さえもしのぐ。

そして経済学者の間ではその原因に概ね合意が形成されている。1990年代から始まったこの生産性急伸の原動力は情報技術(IT)だということである。*1

一生懸命働くことは重要だが、豊かになるために「スマートに働くこと」はもっと重要である。

 

しかし、世の中には別の考え方もある。

連合会長「頑張れば賃金上がるという常識取り戻す」

ことしの春闘について連合の神津会長はNHKのインタビューに「頑張れば賃金が上がるという常識を取り戻すことが極めて大事だ」と話し、基本給を引き上げる「ベースアップ」などを維持することが重要だという考えを示しました。(NHKニュースweb)

もちろん彼の個人的な考え方は知らない。だが、彼に上のことを言わしめた背景、すなわち「頑張れば賃金が上がる」と考える労働者が多いことは事実とされている。

彼らの調査では「頑張ることは、賃金上昇とイコールである」ことは疑いの余地のないこととして捉えられているからだ。

労働者の8割、「一生懸命働けば収入が多くて当然」/連合総研調査

現役労働者の8割が「一生懸命働いた人が収入を多く得るのは当然」との考え方を支持している――連合総研(薦田隆成所長)が1月30日に発表した調査でこんな実態が分かった。現在の社会の平等感については、6割強が不平等だと答えており、収入や社会的権力・地位に不平等を感じる人が多い。(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)

これは、冒頭の考え方とは正反対だ。

 

周知の通り、経営の論理は極めて明確だ。ピーター・ドラッカーの言うとおり、一定の成果をあげるのに投入した労力が少ないほど、良い仕事をしたことになる。

つまり、頑張りはより少なく、成果をよりおおくあげることが、良い会社と良い労働者の条件だ。

 

だが一方で「頑張ったら収入が増える世界」はどんな世界だろうか。

「頑張ると賃金増える」のであるから、頑張れば頑張るほど収入は上がる。つまり、ハードワークが高収入につながる、という世界だ。

おそらくは結果として残業が増え、労働時間は伸びる。行き着く先は、過労死か鬱だ。

その上で「頑張って働いたら収入が増える世界」と「スマートに成果をあげたら収入が増える世界」、労働者は果たしてどちらを望むのだろうか。

 

 

個人的には、頼むからもう労働者を頑張らせないでほしいと思う。もう、頑張ってもなにもおきないことは、現場は皆知っている。

実際、どんなに頑張っても商品は売れないし、頑張っても客は評価しない。

必要なのは、知識、アイデア、方法論、実行力という「頑張り」とは別種のものである。

 

だから、せっかく労働者の代表をやっているなら、いっその事「頑張っちゃいけない」とでも言って欲しい。

経営者に要求すべきはむしろ

「もっと人を効率的に使え」

「アイデアのない経営者は退け」

「もっと良いビジネスモデルを生み出せ」

「頑張らずに知識で儲ける方法を考えろ」

だろう。

 

労働者を守っているつもりだろうが、現実的には頑張ったら収入が増えるべき、といってるひとが、過労死を生み出してるのだ。

 

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(2019/7/14更新)

 

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