10月は多くの会社で評価面談をする時期でもある。

そして、4月に入社した新人は、初めての面談でもある。

 

そこでは、がんばりが認められ、高い評価を受ける新人。期待はずれだったと、あまり良い評価をもらえない新人とにはっきりと分かれる。

では、伸びる新人と、伸びない新人の違いはどこにあるのか。

 

200名以上の社員のうち、新卒入社が半数を占めるソウルドアウト社の上席執行役員、長谷川氏は新卒が育つ様子を観察し、

「育つ人と、伸び悩む人のちがいは、「能力」ではなく「考え方」にある」と言う。

 

*****

 

(ソウルドアウト社 上席執行役員 長谷川氏)

正直言えば、能力的な部分は、採用の時点で大きく差はありません。

差が出るのは考え方のちがいによってです。

考え方によっては、もともと持っていた能力が仕事に活かせる人と、そうでない人に分かれます。

 

特に、つぎの3点に対する「考え方」は仕事に大きく影響します。

 

1.他者からのアドバイスを「自分への攻撃」と捉えてしまう人は伸びない。

昔、あるプロジェクトで、お客さんから若干の苦言を頂いてしまった社員がいました。

仮にYさんとしましょう。

 

当然、その話はYさんにも言わなければなりません。

私達は丁寧に、そのことをYさんに話しました。

「Yさん、お客さんから◯◯という指摘がありました。プロジェクトを頑張っていただきましたが、この点は改善の余地があります。」

 

すると、Yさんは怒ってしまったようでした。

「いや、今回はお客さんの製品が市場とあっていなかったですよ。どう考えても。」

「なぜですか?」

「事前のヒアリングのときには、都合の悪い情報をあまり出してくれなかったですよね。後から知りました。」

「なるほど。でも今回お客さんから頂いた指摘は、そのこととはあまり関係ないですよね。」

 

Yさんはますますムキになって、こう言いました。

「私の事、嫌いなんですか?」

残念ながら、これ以上Yさんと話してもなかなか進展は望めませんでした。

 

Yさんのような方は極端な例ではありますが、「不都合な情報は耳に入れたくない」という方は結構います。

彼らは、上司や同僚のアドバイスを、「自分への攻撃」と捉えてしまうのです。

 

2.「自分の意見を強化する情報」しか取り入れない人は伸びない。

更に、上のような人にもう一つ見られる傾向が、「自分の意見を強化する情報」しか取り入れようとしない、というものです。

 

例えば「コンバージョン率が伸び悩んでいるプロジェクト」がありました。

そのメンバーの一人にTさんという人がいました。

 

彼は調べ物も得意ですし、数字にも強い。

ただ、一つ重大な欠点があったのです。

 

Tさんに上司が「コンバージョン率が伸び悩んでいる原因がわからないなら、一度お客さんに電話して、受注したお客さんの傾向をもう一度洗い直してみては?」というアドバイスをしていました。

するとTさんは「うーん。」と渋るのです。

「早くお客さんに電話してみなよ」と言うと、彼はパソコンに向かって検索をはじめました。

 

10分後。

Tさんは勝ち誇ったように、報告してきました。

「ほら、このページにこう書いてあるじゃないですか。私のやっていることは正しいはずなんですが……。」

上司は呆れて言いました。

「いや、現実はそうなってないから、聞いたほうがいいって。」

「どう考えてもおかしいですよ。ちょっと友人に聞いてみます。」

 

Tさんは結局、自分の意見を強化するような情報を探し、自分の意見を擁護してくれる人の話しか聞こうとしませんでした。

 

心理学的には、このような傾向を「確証バイアス」と言うそうです。

「人は、自分の見たいものしか見えない」との言葉通りです。

 

3.「楽しく仕事しているだけ」では伸びない。

常に自分が気持ちよく、ストレスのかからない状況で仕事をするのは、非常に楽しいものですが、残念ながらそういった環境に慣れてしまうと、なかなか能力が伸びづらくなります。

時には逆境を選択しなければ、大きく能力が伸びることはありません。

 

例えば、弊社のメンバーのAさんです。

前職は株主でもある「オプト」という、インターネット広告代理店に在籍していました。

彼はとても期待されていたメンバーの一人でしたが、なぜかオプトでは、よく言っても十人並みの成果しか挙げていませんでした。

能力は高く、人当たりもよい。

だが、当時は何かが足りなかったのかもしれません。

 

彼は「自分を試したい」と、大手企業ばかりをクライアントに持つオプトから、地方の中小企業を顧客層に持つ、ソウルドアウトに思い切って移籍してきました。

そして、彼の望みどおり、縁もゆかりもない地方に、拠点の立ち上げメンバーとして派遣されたのです。

 

社内に不安の声がなかったわけではありません。

実績からすれば当然のことです。

しかし、驚くべきことに「拠点の立ち上げ」という経験を経て、彼は驚くべき成長を果たしました。

昔の彼を知る人は「別人のようだ」と言います。

 

さらに、この現象は再現性がありました。

地方拠点の拠点を任された人物は、非常に大きく能力を伸ばすことが多かったのです。

 

「人間は環境の生き物」と言われます。

進化心理学者のスティーヴン・ピンカーは、その著書の中で、

「子供に対して親が影響を与える割合はほんの僅かで、子供がどのような人間になるかは、どのような環境で育ったかに大きく依存する」というエビデンスを提示しています。

人間は「持って生まれたもの」「誰に教わったか」よりも、遥かに「どのような環境に身を置いたか」に強く影響されるのでしょう。

 

そういう意味では、ビジネスの世界で大きく能力を伸ばそうと思えば、どこかのタイミングで逆境に身を置き、自分の能力の限界を押し広げる経験をして置かなければならない、というのは合理的です。

 

 

以上が、伸びる人、伸びない人の考え方のちがいです。

 

最後になりますが、実は1.の人物も、2.の人物も、地方拠点や子会社の立上げに関わる、という環境変化を通じて現在では大変に活躍してくれています。

1年目、2年目になかなか活躍できなかった人物でも、ほんの少し、世界の見方を少し変えるだけで、大きく成果をあげることができるのです。

 

実際、「劇的に変わった」と評価される人が、誰の周りにも一人くらいはいるのではないでしょうか。

スポーツの世界にも、芸術の世界でも、「遅咲き」と言われながら、急に活躍が目立つ選手がいます。

 

彼らは生まれ変わったわけでもなく、急にIQが高くなったわけでも、突然運動能力が伸びたわけでもありません。

彼らただ、「視点を変える」ことに成功し、より貢献できる働き方を選択できるようになっただけなのです。

 

 

 

◯ソウルドアウト社PR記事一覧

◯ソウルドアウト株式会社コーポレートサイト

 

 

【お知らせ】

安達裕哉Facebookアカウント (安達の最新記事をフォローできます)

・編集部がつぶやくBooks&AppsTwitterアカウント

・すべての最新記事をチェックできるBooks&Appsフェイスブックページ

 

(Photo:8 Kome)