ラクに仕事をしたいか?と問われれば、ラクをしたいと答える人は多いだろう。しかし、仕事においてラクをするには「最初にラクをしない」ことを選択する必要がある。つまり、
仕事では最初に「ラクをしたい」と思わないほうが、後から大きなラクができる。
どういうことか。
最初からラクをしようとすると、 どうしても「手抜き」になりがちである。具体的には
・きちんと設計しない
・時間をかけない
・チェックを怠る
何の仕事でもそうだが、基本的に「手抜き」は一時的には楽ができても、結局手戻りが合ったり、品質の欠陥による作り直しやクレーム対応などがあり割にあわない。
一時的にはごまかせても、最終的には顧客の不満となって自分に跳ね返ってくる。とてもラクができるという話ではない。
実際には、仕事でラクをするための本当の技術は以下の3つに集約される。
1.可能な限り手戻りを防ぐ
検品やテストではなく、設計段階でレビューを重ね、品質を高めることで工数を減らす。「上流工程で品質を作りこむ」こと。
2.標準化する
同じような作業、共通する作業が以後も発生することが予想される場合、作業をモジュール化、一般化し、「考えなくてもできる」「だれでもできる」状態にすることで、工数を減らす。
3.そもそもやらない
ピーター・ドラッカーは「知識労働の生産性を高めるためにもっとも重要なことは、成果に貢献しない仕事を捨てること」と述べた。※1
もちろん「まずやってみる」ことは重要だが、特に書類作成や会議などに関しては「本当に必要か」は繰り返し問い直す。
以上から、「最初の数回」を我慢して手間をかけ「その後の10回、20回はラクをする」ことを目指すほうがはるかに良い。
「自分の仕事はルーティンワークではないので、そのようなことは出来ない」
という方もいるが、ほんとうの意味でクリエイティビティが必要な作業は、全体のごく僅かだ。
実際、ブログの作成もプロセスに分け、単純作業に落とし込んでしまえば多くの仕事は標準化できる。(つまり、将来的には人工知能で代替できる可能性のある部分が多い)
1.情報収集(ある程度標準化できる)
2.タイトル作成(ある程度標準化できる)
3.視点の作成、結論の決定(クリエイティビティが必要)
4.構成の作成(標準化できる)
5.文章の作成(ある程度標準化できる)
6.推敲(ある程度標準化できる)
以前の会社では、私の上司は標準化の名人だった。「コンサルティング」を標準化し、新卒でも数回の訓練で現場をある程度こなせるようにしていた。
その骨格は以下のようなものだ
・「マニュアル」ではなく「様式」を中心に組み立てる。様式ヒアリングなどで埋めていけば、若手でも結果を出せる。
・コンサルティングの第◯回には◯◯をする等、スケジュールを厳密に設定する。
・勉強会を開催することで、1.教育訓練する 2.現場からの標準化への改善提案をもらう を徹底する。これにより、常に標準化のレベルアップを行う。
また、無印良品を運営する株式会社良品計画は、非常に標準化を重視している。
38億円の赤字だった無印良品がなぜ、6年で売上が1.5倍、利益を72億円と、V字回復できたのか。その秘密を聞いた。(Books&Apps)
彼らはMUJIGRAMという店舗オペレーションマニュアルを世界で運用し、月に全体の1%を書き換える、という執念に近いレベルでの徹底したマニュアル運用を行っている。それは現場からの意見を確実に吸い上げ、隅々までベストのオペレーションを浸透させる強力なツールとなっている。また、DINAシステム、という全社的なタスク管理システムが構築されており、あらゆる議事録が公開され、全てのタスクの締め切りと責任者が「見えるように」なっている。これにより「やり忘れ」というものが、他社に比べて劇的に少ない。
真にラクをする技術は、だれでも学ぶことができるし、だれでも実行することができる。一度仕事のプロセスを見なおしてみてはいかがだろうか。
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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
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