最近は世間の風当たりが厳しいためか、「労務管理」に勤しむ会社が本当に増えた。
労務管理というと何やら難しい響きがあるが、要するに実態は「残業禁止」である。
つい先日もある中小企業で働く友人と話していた時、
「一昨年は残業時間が月に100時間を超えていたが、今年は20時間を切りそう」と、残業削減の取り組みをしたことを話してくれた。
「労基署がこわいから残業削減の取り組みを初めて、ヨーイドンで、残業を減らした。もちろん、持ち帰って仕事も禁止。」
「へえ。業績はどうなった?」
「ほとんど変わらない。というかむしろ最高益だった。」
「なんとw」
「1つは、残業代が減ったことによるもの。もう1つは……時間かけてもパフォーマンスはあまり変わらないってことかな。」
「なるほどー。よかったね。」
「そうなんだけど、一つ問題があって。」
「なんですか?」
「貢献度の高い社員は、時間を短縮してもきちんと目標を達成する。むしろ残業代がなくなって利益を増やしてくれた。彼らは昇給させてあげたいという雰囲気になってる。」
「問題無いじゃない。何が問題?」
「でも、逆に問題になるのは仕事ができない社員。工夫して仕事を早く終えている人たちが「こいつら全然仕事してねーじゃん。」ってことで、不満を言い出した。」
「どういうこと?」
「頑張って時間内に終えるようにしている社員と、相変わらずダラダラ仕事している社員が出てきた、ってこと。」
「ああ、なるほど。」
「だから、極端な話「あいつらの給料を下げて欲しい」って人も出てきてね。給料分すら働いてないじゃないか、と。信賞必罰はどうなったのかと。」
「微妙だね。」
「そう、会社の雰囲気悪くなった。」
彼は間をおいた。
「そしたら上のほうが「生産性」を厳密に定義するのは難しいから、思い切って「相場」に合わせた給与にしようと言い出した。」
「具体的には?」
「単純で、何人かの転職エージェントと外部の顧問と「一人ひとり、どのくらいの年収が妥当か」を、データをもとに検討して、その平均+αで決めた。」
「プラスアルファって、何?」
「期待、というか、やる気があって伸びそうな人には、市場より少し高めに出す。改善の余地がなさそうな人には、逆に低めに出して、「辞めてもらっていいです」っていうメッセージを出す。」
一見良さそうだが、疑問が浮かぶ。
「ほー。でもそれだと「見栄えのいい仕事」ばかり皆がやって「地味だけど会社がやってほしい仕事」をやる人がいなくならない?」
「例えばどんな仕事を想定してる?」
「……すぐには思いつかない。総務とかシステム周りとか?」
「実は、その話も出た。でも、嫌な仕事は生産性も低くなる。」
「そうだね。」
「だから、そういう仕事が発生したら、出来得る限り派遣や外注にやってもらうことに決まった。」
「なるほど。」
「市場価値の高い仕事って、利益を生み出す仕事だから。逆にみんなにそれをやってもらったほうがいいかなと。つまり純粋に成果重視に切り替わった。」
「合理的だ。」
「結局、殆どの人は給料が上がったので不満もほとんどなくなった。」
「へえ。」
彼は一息ついた。
「そうしたら、駄目な人は辞めてった。多分うちよりも良い給料のところに行けたんだろうから、お互い満足。会社の雰囲気も良くなったし、皆のやる気も上がったよ。」
「前とは別の会社みたいだな。」
「残業の話から始まったんだけど、会社の根幹まで変わった感じ。結局「残業しない」っていう決め事をするかしないか、という話かなと思ってる。」
「そうかもね。」
「あと「仕事はダラダラやりたい」って人が結構多かったのは意外だった。」
「ダラダラ?残業したい、って言う人が多い?」
「と言うより、計画を立てたり、改善を考えるのが苦手な人達、ってイメージかな。考えたくない、というか。行き当たりばったりで仕事したい、っていう。」
「改善の余地は無いの?」
「そういう人たちは、上司の言うことも聞かないからね……。難しいよ。」
■
各所で「残業削減」が叫ばれている。
そして、その取組みを熱心に行った結果、上の会社では
「できる社員」はますます多くを受け取り、「できない社員」は会社を辞めた。
この状況は彼らだけの特殊なものなのだろうか?それとも、これが一般的な状況になっていくのだろうか。
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